杖と呪文の仕組み/上級編
杖と呪文の仕組み第2部へようこそ。もし基本的な初級編を読んでいなかったりまだ理解していないのであれば、ここで議論される概念やテクニックを適切に理解するために先に読んでおくことを強くお勧めします。
この上級編では、杖が実際のところどのような仕組みで動くのか、杖のステータスがセットされた呪文にどう影響するのか、そして呪文と調整盤呪文の直感的でない相互作用の(ほとんど)全てについて、例えばより速く呪文を放つトリックについて述べます。
また、特に明記されていない限り、この記事で挙げる杖ドは「シャッフルいいえ」杖であるとします。「シャッフルはい」杖の場合は、別途明記します。
それでは前置きはこれくらいにして、本題に入りましょう。
概念: 詠唱ブロック(Casting Blocks)
詠唱ブロックは杖の挙動を説明するための概念です。
これはゲーム中に出てくる用語ではありませんが、説明のためにここではこの言葉を用います。詠唱ブロックは1回の詠唱で杖が発する命令(=呪文)の集合として定義されます。詠唱ブロックは(同時に詠唱される限り)任意の数の調整盤呪文などを含みます。
ここで初級編でも挙げた例について見てみます。
例A
呪文 | ||||
---|---|---|---|---|
ブロック | 1 | 2 | 3 | 4 |
これは4つの詠唱ブロックがあり、詠唱するごとにそれぞれ1つの呪文を詠唱します。
例B
呪文 | |||
---|---|---|---|
ブロック | 1 | 2 | 3 |
上記は詠唱ブロックが3つあります。
エネルギーオーブは単独で、バウンドバーストは1つ調整盤呪文がついており、スパークボルトは2つ付いています。
例C
呪文 | ||
---|---|---|
ブロック | 1 | 2 |
上記は詠唱ブロックは2つだけです。
1つは最初のトリガー呪文で、残りの呪文は全て2つ目のブロックに含まれます。
詠唱ブロック中の調整盤呪文
上の例で見たように、詠唱ブロックが1スロット以上に跨るのは、スペルが調整盤呪文やマルチキャストと組み合わされた場合だけです。
初級編では、調整盤呪文が正しく機能するには呪文の左側に置かなければならない、と書かれていますが、これは厳密には正しくありません。正確には、調整盤呪文は同じ詠唱ブロックの一部分でなければならない、です。
同じブロックの中にさえあれば問題ないのです!
ここで2つの例を見てみましょう。 例A
呪文 | |
---|---|
ブロック | 1 |
上記は毎回3つのバブルスパークを詠唱して、その3つ全てに炎の痕跡の効果が付与されます。
例B
呪文 | |
---|---|
ブロック | 1 |
このように、調整盤呪文を右端に置くこともできます。このマルチキャストは3倍呪文なので、4番目のスロットまで効果が及び炎の痕跡が認識され、すべてのバブルスパークに効果が適用されます。
(気をつけてほしいのは、この例では炎の痕跡の直後にも呪文をセットする余地があるため、基本的には呪文1個分の無駄が生じていることになります。もっともそのためにはスロットがもう1つ空いている必要がありますが)
詠唱ブロック中のマルチキャスト
前節の例で見たように、複数の呪文が入った詠唱ブロックを作るには何らかのマルチキャストが必要、というのが前提ですが、さらに複数のマルチキャストを繋げることにより、より大きな詠唱ブロックを作ることができます。
これがその例です。
呪文 | |
---|---|
ブロック | 1 |
この場合、
- 最初の3倍スキャター呪文が読まれ、2つのバブルスパークに加えて別の3倍スキャターが読み込まれる。
- 最初のスキャターに2つ目のスキャターが組み込まれ、それが追加のバブルスパーク3つを組み込む。
- 詠唱ブロックにはこれ以上何も含まれないので、5つのバブルスパークが一度に詠唱される。
詠唱ブロックまとめ
ここに今までの話題をすべてまとめた呪文の例を記載します。
この杖はスピードアップのついたバブルスパークと同時に、スパークボルトを詠唱します(ブロック1)。スパークボルトは着弾時にダメージプラスの付加された他の呪文を一斉に放ちます(ブロック2)。
詠唱数が1より大きい杖
大多数の杖の詠唱数は1です。これは単純に1クリックで1つの呪文を詠唱するということです。では詠唱数がそれより大きい場合はどうなるでしょうか?
実際の仕組みは想像より単純です。シャッフルする杖もしない杖もクリックすると詠唱ブロックを生成します。これは、シャッフルいいえ杖の場合、2倍呪文のような通常のマルチキャストを使ったときと同じようなルールと機能に従うという意味です。つまり、杖のスロットの前に非表示の、詠唱数に相当する呪文を格納できるマルチキャスト呪文が入っているとみなすことができます。
要するに、詠唱数が2で呪文がこのように配置された杖は…
詠唱数が1でこのような配置を持つ杖と全く同じふるまいをします。
詠唱数がこれより大きい場合も同様で、詠唱数に相当する大きさの詠唱ブロックに呪文を追加できます。
杖に備わった詠唱数とマルチキャスト呪文の違いは、後者が追加のマナを消費する場合があるのに対し、前者は常にマナを必要としません。さらに、詠唱数は最大で25に達するのに対し、単一のマルチキャスト呪文で達成できるのは6(編隊 - 六角形を使った場合、しかも向きを変えてしまう)です。
シャッフルはい杖ではどうなるのか
上記の例(や杖と呪文の仕組みのシャッフルする杖の例)で見たように、連続するコンボを使おうとするのはかなり無駄な努力ですが、それでも、詠唱数とちょうど同じ数だけの呪文を使うことで役に立てることができます。
例えば、詠唱数が4のシャッフルはい杖を持っている場合、次のような配置を試すのもいいでしょう。
シャッフルはい杖であっても、配置した4つの呪文しか選択する余地がないために、この杖は常にスピードアップのかかった3つのバブルスパークを詠唱します。先程の例とは違い、こちらは実際に役に立ちます。
常に呪文を詠唱を持つワンド
時々、"常に呪文を詠唱"という表記とともに呪文のアイコンの表示がある杖が見つかることがあります。
これはどう動作するかというと、杖はどんな詠唱ブロックに対してもその(調整盤)呪文を付与します。なので、もしアイコンが魔法のミサイルであればそれが詠唱ブロックに加えられ、発射されます。もしカオス軌道であれば、詠唱ブロックはその影響を受けます。
常時詠唱の基本的な仕組みはとても単純な一方、その特色は呪文のステータスとして現れます。 常時詠唱の呪文や調整盤呪文は、
- 杖の詠唱遅延時間(Cast delay / 詠唱遅延)と同じ
- マナコスト0
- 使用回数無限
つまり、もし詠唱遅延時間とリチャージ時間を0に減らすことができれば、常時詠唱の呪文は毎フレーム、マナコスト0で放てることになります。
ループ効果
詠唱ブロックがどのように働き、他の要素とどのように作用するかについて理解したところで、もう一つ奇妙な仕組みについて話さなければなりません。呪文がループする現象についてです。杖ループ(スペルラッピング)とは、最後の呪文に到達して杖がリチャージされる代わりに、最初の方の呪文が読み込まれることです。
ループは3つの状況で起こりえます。
- マルチキャスト呪文が十分な数の呪文を見つけられなかったとき
- 調整盤呪文がその右側に呪文を見つけられなかったとき
- トリガー系呪文がその右側に呪文を見つけられなかったとき
この3つのどれかが起こったとき、杖は用いる呪文を見つけるためにスロットの最初の方を読み直します。これは1回のリチャージごとに1度だけ行われます。この機能の唯一の制限は、現在使用されている呪文を読み直すことができない、です
ループをうまく活用することで、容量の少ない杖でも強力な杖を組むことが出来ます。
例A
呪文 | |||
---|---|---|---|
ブロック | 1 | 2 | 3 |
ブロック(続き) | 3 |
この例だと杖は、
- 最初のクリックで単発のスパークボルトを詠唱する
- 2回目のクリックで別のスパークボルトを詠唱する
- 3回目のクリックで2つのスパークボルトを同時に詠唱する
- 順番がリセットされ、リチャージが始まる
例B
呪文 | ||
---|---|---|
ブロック | 1 | 2 |
ブロック(続き) | 2 |
ここでは次のようになります。
- バウンドバーストが詠唱される
- ダメージプラスの乗ったバウンドバーストが詠唱される
- リセットとリチャージ
例C
呪文 | |||
---|---|---|---|
ブロック | 1 | 2 | 3 |
ブロック(続き) | 4 | 5 |
この例は少しトリッキーです。何が起こるかというと、
- 最初のクリックで、トリガー付きのスパークボルトが詠唱される。スパークボルトはヒット時に、スピードアップ、2倍呪文、2つのバブルスパークを詠唱する。
- 次のクリックでトリガー付きのオーブが放たれるが、右側には何も見つからないので先頭からスペルを読んでトリガー付きのスパークボルトを持ったエネルギーオーブが放たれる。エネルギーオーブがヒットするとスパークボルトが放たれ、スパークボルトがヒットするとブロック2(厳密に言うならブロック5)の呪文が再度放たれる。
- リセットとリチャージ
杖のステータスはどのように計算されるか
この項目に入る前に、wikiの杖の項目に目を通して杖の各ステータスが何であるかを確認しておいた方がいいでしょう。
杖のページで述べたように、詠唱遅延とリチャージ時間は特定の呪文で増減することがあります。これに加えて、マルチキャストや調整盤呪文も詠唱されたときにこれらのパラメーターを変化させうるでしょう。他にも拡散のような杖の別のパラメーターを変化させる調整盤呪文もあります。
トリガー付きのスパークボルトのようなトリガー付き呪文は、プレイヤーが射出した時と同じように、詠唱ブロックの総マナ消費とリチャージ時間を引き継ぎます。詠唱遅延は影響しません。
つまり、トリガーされた詠唱ブロックに含まれているプラスの詠唱遅延は完全に無視されます。これにより、例えば稲妻ボルトをトリガーに組み入れると連射できるようになります。
詠唱遅延
詠唱遅延時間は、詠唱ブロックが作動してから再び詠唱できるまでの待ち時間を生じさせるクールタイムです。詠唱遅延は詠唱ブロックごとに発生し、呪文が持つプラスやマイナスの詠唱遅延が詠唱ブロックごとに合算されてクールタイムが決まります。
例: このワンドの元の詠唱遅延時間は0.20秒だとします。
呪文 | ||||
---|---|---|---|---|
ブロック | 1 | 2 | ||
詠唱遅延 | 0 | +0.50 | +0.05 | -0.03 |
ファイヤーボルトには+0.50の詠唱遅延があり、スパークボルトによりさらに+0.05の遅延が加わります。2倍呪文はパラメーターを変化させません。一方、バウンドバーストは-0.03で杖の最後にセットされていますが、これはクールダウンと杖のリチャージが同時に発生することになります。
なので、この杖を射出させた場合、ブロック2のバウンドバーストが詠唱できるまでに0.75秒 (0.20 + 0.50 + 0.05) の待ち時間が発生します。詠唱遅延に関してはこれだけです。単純に遅延を足し合わせてください。
リチャージ時間
リチャージ時間についても詠唱遅延時間と同じように働きますが、呪文のサイクルの終わりにだけ発生する点が違います。そのため、詠唱遅延は詠唱ブロックごとにリセットされるのに対し、リチャージ時間は杖の最後の呪文までパラメーターを合算させることができます。
さらに言うと、詠唱遅延とリチャージ時間は相互排他的ではありません。詠唱遅延とリチャージは同時に発生しうるので、杖の最後の詠唱遅延がリチャージより長い場合、もしリチャージが終わっているように見えても実際には詠唱遅延のタイマー(杖を使用すると表示される)が動いているために呪文が詠唱できないことに気づくでしょう。
拡散とマナのリチャージ
拡散範囲のパラメーターは、詠唱遅延と同じように詠唱ブロックのスペルに加算されます。マナも同様ですが、トリガー付きの呪文で詠唱ブロックが結合している場合は、複数のブロックを通じて加算されます。
杖のマナを回復させる方法は2つあります。マナを追加するを使うか集中マナに浸かるかです。ここは杖のガイドなので、ここでは調整盤呪文についてだけ記述します。
マナを追加するはプラスの詠唱遅延と-30のマナ"コスト"を持ちます。つまり(ミスリーディングな説明文ですが)、実際には"杖にマナを加える"のではなく、付与された詠唱ブロックからマナ流出 (Mana Drain) を減算します。そのため、正しく使えば連射速度の速い杖でマナが尽きるまでの時間をかなり伸ばせますし、完全にマナを消費しない杖を作ることすらできます!
例:
呪文 | ||||
---|---|---|---|---|
ブロック | 1 | |||
消費マナ | 0 | -30 | 10 | 10 |
光線ドリルにはそれぞれ+10の消費がありますが、マナを追加するの-30によって完全に打ち消されます。
これは杖が一切マナを消費しないことを意味します。一切マナを消費しないので、たとえ杖のマナチャージ速度がどんなに悪くても、マウスのボタンを離すまで杖は[光線ドリル]]を永遠に射出し続けます。
マイナスのパラメータ活用方法
もし配信者がNoitaを遊ぶのを見たり、あるいは自分で杖の仕組みを試したことがあるなら、チェーンソーという奇妙で強力な魔法に巡り合った経験があるでしょう。
チェーンソーは近接攻撃の間合いでダメージを非常に速く与える呪文で、そのために(少し弱いですが)リチャージ時間減少の調整盤と同じボーナスが乗っています。
が、マナ消費はたった1です。また、ワールドにある杖の中から複数個セットで見つかりやすく、そのため多くの杖で使用する機会があるでしょう。もしあなたが前述の節を読んで、詠唱遅延やリチャージ時間がどのように計算されるかを理解したのであれば、これらがの話題がどう結びつくのかたぶん既に気づいていることでしょう。
詠唱ブロックの中で十分な数のチェーンソーを使うことによって、ブロックの詠唱遅延とワンドのリチャージ時間をどちらも減らすことができます…ゼロに。追加のマナ消費もほとんどありません。マナを追加するを加えれば、詠唱時のマナ消費を完全にゼロにすることもできます。
やってみましょう:
ワンドのパラメータ
- 詠唱遅延: 0.25
- リチャージ時間: 0.50
- 始めに、3倍呪文がトリガー付きのスパークボルトと2つの呪文を詠唱します。これをブロック1とします。
- トリガー付きのスパークボルトは直ちにブロック2を生成して1つの呪文を詠唱します。
- マナを追加すると編隊 - 六角形が詠唱されさらに6つの呪文が詠唱されます。
- 結果的にブロック2では5つのバウンドバーストと1つのチェーンソーがトリガー先から詠唱され、発射されます。
- トリガー内部であるブロック2の詠唱遅延は無視され、リチャージ時間がチェーンソー1つ分減少します。
- ブロック1に戻り、残った2つのチェーンソーが詠唱されます。これらは最初のトリガー付きのスパークボルトと同時に詠唱されます。
- リチャージ時間はチェーンソーの-0.17秒が3つ分で-0.51秒され、ワンドのリチャージ時間0.50秒を完全に打ち消します。
- 詠唱遅延は最後に詠唱されたチェーンソーの効果により0になります。これはチェーンソーの呪文の独自の効果です。
- 最終的に、このワンドは詠唱遅延0、リチャージ時間0になり、毎フレームスペルを詠唱するようになります。
- 1回の射出で16マナ(46マナ-30マナ)流出します。もう1つマナを追加するを追加できれば完全に消費がなくなります
もしチェーンソーのスペルがなければ、水(呪文)のような一部の資材系呪文で代用できます。発掘ボルトや発掘ブラストも使えます。光線ドリルも同じですが、10マナの消費があります。
さいごに
今の所はこれで全部です。最高の杖を作りに行きましょう!そしてもしここでカバーしていない内容に気づいたら、気軽に追加してください。